これから運動、パーソナルジム、ダイエットジム、トレーニングジムに通いを始めようと思っているがトレーニング方法が良く分からない人、今まで運動を続けようと何度かトライしたが継続できなかった人に、読んでいただきたい「腹式呼吸の具体的なやり方」をスポーツコーチが解説します。
覚えておきたい呼吸法は腹式だけ?
こんにちは、JDです。スポーツコーチの観点から、腹式呼吸の具体的な解説を分かりやすく図を用いながら解説してみたいと思います。そして皆さんが覚えるべき呼吸は腹式呼吸だけなのか、その辺にもしっかり触れていきます。以下の5タイプに当てはまる人は是非読んでほしいと思います。
- これから運動、ジム通いを始めようと思っているがトレーニング方法が良く分からない人
- 今まで運動を続けようと何度かトライしたが継続できなかった人
- 今現在ジムに定期的に通っているがあまり具体性のない運動をしてしまっている人
- 老年期を出来るだけ健康的に自立歩行で怪我のリスク少なく散歩などを楽しみたい人
- 腰痛・膝痛・成人喘息などを持っている人
私は今まで10年間、スポーツコーチとして様々な人のパーソナル指導、グループ指導を行ってきました。小学3年生から67歳まで、ノンアスリートからプロアスリートまで、本当にさまざまな人たちです。
私はそのような人たちに健康促進、競技力アップ、体の問題解決してもらうために理にかなったトレーニングとはなんなのかを日々取り組み、その人たちの中には目標達成した人も沢山います。年齢、性別、運動目的、健康度合いなどが皆違いますが、身体的トレーニングをする上での最初の作業は実は同じなのです。それは呼吸です。
呼吸の仕方に理にかなった規則がある人とそうでない人では1年で健康度合いや身体能力に差が出始めます。
健康管理が継続できる人や目標達成まで成し遂げる人は、この基礎的な呼吸が自分の中で確立している人がとても多いと私は感じています。一方、確立できていない人は運動による健康管理が続かなかったり、怪我や病気のリスクが高くなると私は考えます。
二種類の呼吸法
では、ここから具体的に呼吸の話をしていきます。呼吸にはまず大きく分けて2タイプあります。
- 胸式呼吸
- 腹式呼吸
今まで私が指導してきた中で胸式が習慣づいている人はたくさんいました。胸式呼吸というのは簡単に説明すると、胸で呼吸をし、腹部を使わない方法です。息を吸って胸(肺)だけが膨らみ、息を吐いて胸部がへこむというような感じです。胸式を生活習慣にしている人は腰痛、ひざ痛、心疾患、呼吸器疾患などにつながりやすいという印象を私は持っています。メカニズムは以下の通りです。
- 胸式呼吸の概念の中には体の幹である背骨・骨盤・体の中心を使うことが含まれない。
- 日々の呼吸から上記の部位を使わないと、一般の人が思う以上に重たい上半身を体の中心である骨盤に日々乗せられていない可能性が高い。
- 乗せられていないということは体の中心が使えていないということであり、末端に必要以上に負担が行くことになる。
- 結果として背骨や膝などの関節にダメージを受ける。
またこのような生活習慣の持ち主は運動に固定観念や偏見をもちやすくなる傾向があり、体を動かすことに対し比較的、不快・苦手といった感覚を持ちやすくなる人が多いようです。
心臓も筋肉であり、使わなくなれば衰え、結果的に心肺機能低下につながり、心疾患・呼吸器疾患になる可能性が高くなるといった恐れがあります。
以上の理由から、私は皆さんに胸式呼吸を生活習慣にしないことをお勧めしています。
腹式呼吸方法とは
腹式呼吸についてお話していきます。先ほど少し触れましたが呼吸と体の中心は繋げて考えるのが望ましいです。腹式呼吸の概念とは、一連のサイクルから成り立っています。
鼻からゆっくり大きく息を吸って、お腹を四方八方に膨らませる。
口からゆっくり息を吐きながら、お腹を四方八方にへこませる。
それぞれ7秒ずつぐらいを私は推奨します。それくらいが速過ぎず遅すぎず丁度良いと考えます。では、四方八方に膨らませる、四方八方にへこませるとは具体的にどういうことなのでしょうか?
一般の人がお腹を膨らませようとすると前方にのみ行う人がとても多い印象を受けます。膨らませるということは空気圧の話をしているわけですから一方方向だけにするのはとても不自然です。多くの人は腹式呼吸はお腹を膨らませたりするんだということは漠然と理解していると思いますが彼らにとってお腹とは腹部の前方のみという理解をしているために矛盾が生じます。
この記事を読んで、今日から、腹式呼吸の概念の中ではお腹は前部だけでなく、側部、後部も含むということを理解していただければと思います。上の画像の丸で囲まれた部位一体です。そのように理解すれば膨らますときに動作と認識の間に矛盾がなくなります。
ここできれいに膨らませるワンポイントですが、まず、鼻から吸って、吸った酸素がお腹で四方八方に膨らんでいくイメージを持ってください。膨らませながら以下のように背骨と骨盤を動かしていきます。
まず背骨から。沢山の関節から形成しているわけですが、通常の背骨は横からみると下の図の真ん中の形をしています。
体を横から見た図ですが、一番左のS字が鋭くなった状態にならないよう気を付けて下さい。背中を反らせた状態がこれにあたります。腰痛などにつながりやすいです。膨らませながら背骨全体を後ろに突き出していくイメージです。特に腰部の突き出しを意識してください。へこませながら背骨を図の真ん中の通常の形(フラットポジション)に戻します。
次は骨盤。
上の画像の丸で囲まれた部位です。上半身と下半身連結する部分であり体の中心部です。画像を見て気が付いて欲しいことは背骨の一部は骨盤の一部であり、またその反対もしかりということ。この通常の骨盤を真横から見ると下の図の真ん中の状態です。
鼻からゆっくり吸いながら、お腹を膨らませながら、上記のように真ん中の状態(フラットポジション)から右の状態に骨盤を傾けていきます。後ろに傾けるということです(後傾ポジション)。そして口からゆっくり出しながら、骨盤をゆっくり真ん中の状態に戻してください。このサイクルの繰り返しです。
ちなみに左の状態のように前に傾けること(前傾ポジション)は腰痛などにつながりやすいのでしないよう気をつけてください。以上のように、①鼻と口を使い分けてお腹を膨らませる・②背骨の動き・③骨盤の動きの3つの歯車がかみ合って腹式呼吸は成り立ちます。
腹式の練習方法
腹式の練習方法についての説明をします。前章で解説した基礎動作を仰向けで膝を立てた状態で練習してください(膝を伸ばすと難しくなります)。
写真の感じにリラックスして行ってください。膨らませているときはマットに背中の腰部がぴったり付く感じになります。へこますときに骨盤が前傾にならないように気を付けて下さい。後傾で少し力を使い、そこから力を抜くとフラットポジションに自然に戻る感覚をつかんで欲しいです。
これを毎日10分でも続けると大変良いと思います。場所はどこでも出来ると思います。道具も使いません。
仰向けで慣れてきたら下の写真のように椅子に座った状態で同じことを練習してください。頭蓋骨を骨盤の真上に乗せることを意識して行ってください。
これも毎日10分でも続けて欲しいです。これらを運動の準備運動に取り入れても良いと思います。これらが慣れてきたら歩きながらトライしてください。トレッドミル(ランニングマシン)で歩きながらこれを実践してみても良いと思います。
逆腹式呼吸方法とは
ここからは腹式呼吸が生活のすべての場面で効果的に使えるのか、についてお話していきます。結論はまずNoです。
実は、運動時のような心拍数が通常よりも上がるとき、重たいものを持つとき、筋肉の収縮時、階段の上り下りなど、これらの時に腹式では体の中で上手くエネルギー伝達がされにくいのです。実際にやってみれば分かると思いますが、力を使うときに、走っているときに、鼻から吸ってお腹を膨らませると呼吸と動作が全く噛み合わないのです。
そこでどのような呼吸をしたらよいのか?その答えは、現在のスポーツ科学では逆腹式呼吸です。腹式呼吸の一種でその名の通り、サイクルが逆に行われます。この逆腹式を使って運動時や、重たいものを持つ時、日常の生活時よりも体に負荷がかかるときは呼吸と動作を嚙み合わせていくのです。逆腹式呼吸の概念は以下の通りです。
口から少し強く呼吸をはきながら、お腹を四方八方に膨らませる。
鼻から少し速く息を吸いながら、お腹を四方八方にへこませる。
腹式の概念と見比べて入れ替わっているのに気づきましたか?
この逆腹式では息を出しながら膨らませる、吸いながらへこませるのです。それ以外は基本的に腹式と同じ考えです。すなわち、膨らませるときは背骨を突き出す・骨盤後傾、へこませるときは背骨・骨盤共にフラットポジションに戻す、という動作は腹式、逆腹式の共通点です。
一つ補足ですが、逆腹式は脈拍が普段の2倍から3倍になっても対応できるように腹式と使い分けるものでもあります。ですのでテンポも異なるのが自然である、ということを理解してください。膨らませる時間とへこませる時間をそれぞれ2秒ずつくらいで取り組み始めていただければと思います。
逆腹式の練習方法
逆腹式の練習方法についてです。これは基本的に上で述べた腹式の練習法と同じです。最初はエクササイズマット等をしいて仰向けで膝を立てて行ってください。膨らませるときは四方八方に出来ているのを確認しながらが良いかと思います。
脇腹が膨らんでいるのが一つの判断基準ですから手を当てながら最初は行って下さい。そしてその時に腰部の背中あたり広エリアをマットにぴったりつける感じです。膨らんでいるときに背中とマットの間に隙間がないことを確認しながら。そしてへこますときは骨盤が前傾にならないこと、背骨が反らないことを注意してください。毎日5分続けて欲しいです。
難しいかと思いますが、理想は、まず1年継続して欲しいです。仰向けポジションになれたら椅子に座って同じ動作をトライしてください。座った状態で出来るようになったらジョギングしながらやってください。呼吸のテンポはここまで来たら自分で考えるのが良いと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?少し取っつきにくい部分もあるかと思いますが、皆さんにとって意味のある学びとなったならばとても幸いです。今日からの生活に取り入れて頂ければ幸いです。一方、書面だけではあまりよく理解できない人もいるのではと思います。そのような人には一度専門家の指導を受けて欲しく思います。近隣で腹式呼吸についてちゃんと指導が出来るトレーナーやコーチを探して一度ちゃんと指導を受けてみるのが賢いと思います。
人間、何を始めるのにも最初が肝心だと私は思います。最初にちゃんと土台を作って自分のペースで末永く健康管理をしてほしいと思います。問題が深刻になってから時間とお金をかけるのか、そうならないように時間をお金を費やすのか、賢く考えて日々の生活を健康的に過ごしてください。
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